雨がピンセットのように降る
空は人の憂いを 求めている
雨はしきりに降りはじめる
鳥が回りで叫び声をあげる
何かの危難を知らせる合図なのか
それともよろこび含んだ口で
はなたれ 降る矢だろうか
待ちうけるものを
望遠鏡で覗いた先の
断片として 葉隠れす
置き手紙か
鳥は宿り木をして 鳴いている
土にめりこむ
人の肌を濡らす 実は
もうどこかで 芽を
出しはじめている
空は水の色を
落とし
雲の悲しみを
蛇腹のように ひろげる
そのスキマに投げ入れられる
急転直下の レジスタンス
鳥たちは 飛び立たずとも
葉はふるえるのだろうか
パズルの最後のピースを
はめるときのような感覚で
雨足が強くなる
とたん鳥が 啼き声を
たくましくした